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L'ACTU, L'Express スイス 2012年11月17日付

広瀬弘子の惑星にて

ブリュッセル在住の日本人アーティスト広瀬弘子が、ギャラリー2016に油彩画を展示している。 彼女の作品はその繊細さで見る人の感性を触発する。展覧会のタイトル「Sanga」の印の下、踊るような姿の作品群は、この世の外にあるどこかもう一つの世界を想起させる。





accrochages スイス 2012年11月142号

スイスの情報誌accrochagesに展覧会の情報が掲載されました。




Genaro Marocos Navas

「季節の色合い

広瀬弘子は日本、イタリアそしてドイツでの多彩な教育の中で、クラシックな色調のセンスやエレガントで明るい線への愛を育て、色とマチエールの出会いの成果を探し、それらを表現する力を習得した。

色とマチエール、自然の表情、街の色そして庭の色。

最初に目にした瞬間から、彼女の作品は私を魅了した。

彼女の抽象画は繊細さで満ちあふれ、私はそのなかに暗示的であり、かつ挑発的な世界観を見出した。

広瀬の絵を注意深く観察し、ピグメントの重なりの層に彼女の制作の痕を見つけたとき、私はまるで一人の考古学者のような感動を覚えた。

最後のひと筆の後ろに別のピグメントが存在し、さらにその後ろにまた別の痕が感じられる。それらは時に対立し、時に調和する。キャンバスの前に立つ私たちの眼前で、彼女の絵は永遠の躍動を続けているように感じられる。

キャンバスは基調色により支配されており、その不透明な点の後ろに現れる透明な形状は、洗練された線によって仕上げられ、絵に一層の深みと表情をもたらしている。それを発見したとき、私は全ての思索がその作品の背後につながっていることを理解した。

一日の流れの中で変わりゆく人間の気分や感情の移り変わり。とても穏やかだったり、またある時はとても複雑だったり。そんな一日、そして季節が、人間の感性に変化をもたらす。こうした感情の高揚や曖昧さを、広瀬は明るさや輝き、そして陰影によって訴えかけてくる。

抽象画は、数えきれない絵の可能性を試すための旅に似ている。出発から終着までインスピレーションに満ちた旅であることが大切だ。広瀬のキャンバスは、驚くほど強い力で見る人を魅了する。それはこの旅の成功を象徴している。

彼女は心の中に思い浮かべた色をパレットの上に生み出し、季節の色合いまで表現するアーティストである。



2004年2月ドイツ新聞より

「雲の上から」

広瀬弘子の作品を見ると機上から見た雲海を思い起こす。

視界から遮断されている地上にあるすべての物 深い海や陸がそこにある事を感じ取ることが出来る。

それでこのアーティストはGalerie ARTisformaに出品した新しい作品のタイトルに≪空間の中の旅≫や≪浮動するフォーム≫と付けたのではないか。

アーティストは現在ブリュッセルに在住しているが、デュッセルドルフに行き、絵画に更に傾倒する前、ミラノのブレラ国立美術学院でグラフィックやデザインを学んだ。繊細な陰影の上に限られた寒色を施し、Karin Rissa(ドイツ国立芸術大学教授)のその生徒は教授と同様に多色を用い、それに霊的な色を加味させている。

その作品は表情を常に変化させている。

それは水彩画の様な軽やかなタッチであったり、厚みを持った強さを持ったり。

芸術の歴史の上で古くから言われている偏見とみなされるかもしれないが広瀬弘子の作品にはそのアジア的センスを感じる。少なくともひと筆で描き上げた線に。特にはっきりと見られるのが薄緑色の三枚続きの作品≪無限の空間≫でその作品を見ればうかがい知ることが出来るであろう。



シュトュットガルト アートノートより

Sonnendeck

アーティストは空間を外に向けて構築し、殆んど互い違いに構成している。

その空間は霊的に深く、光によって明確にされていると言えるだろう。


 
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